2009年6月12日金曜日

ボーナス

こないだカウンターに来てたお客さん(26歳男子、製薬会社勤務)が

「あぁ、あと一月でボーナスだ」

と口にする。

「おう、そうかぁ・・・そやなぁ、もうそんな時期なんやなぁ・・・んで?(ボーナス)あたるんか?」

ここんとこお客さんから「給料10%カット」だとか「ボーナスあたらんかも」とかいう厳しい話ばかり耳にしている僕は思わず聞く。

「そうですねぇ、最低2,5ヶ月はもらえるはずです。あとは査定次第ですね・・・3ヶ月はないだろなぁ・・・こんど面談あるんですけどね」

ちょっと得意げに言う彼。

「な・なにーっ!なんやってか!2,5ヶ月ぅっ!!!なんや今時バブリーな話やなぁ!」

向かって左隣に座っていた女子(26歳、介護師)も驚く。

「えぇーっ!凄ーい!夏で2,5なら冬いくらもらえるの?!いいなぁー」

彼女が月々いくらもらっているかは知らないが仕事のハードさの割りに給料が低いと評判の介護師・・・月々の収入もボーナスもさほどではないに違いない。

席2つほど空いた右隣の男女(40代のカップル・・・とは言っても付き合っていうわけではなさそうだ。飲み友?)も食いついてくる。

「ほぅ、そりゃぁ凄い!奢ってもらわなあかんな。ごっそうさん」

「そやそや、これは奢ってもらわなあかんの」

「えぇーっ、なんでそうなるんですかぁ!?」

「なんも今すぐ奢れって言うてないが!一月後・・・来月の10日、ここ(Agit)で待ってるわ」

「おう、それがいい!この4人(男女のカップル+介護師の女子+当の本人)ここで待ち合わそうさ」

「ちょっと、ちょっと待ってくださいよぉ」

「はーい、じゃぁ来月ここで待ち合わせねぇ、青年の奢りで!」

「ねぇねぇ、ちょっとマスター。笑ってないで助けてくださいよぉ!」

(馬鹿だなぁ、そんな話するからだよ)

と思いながらニヤニヤ笑って話を聞いていた僕に助けを求める彼。

「さぁ、知らんなぁ・・・そんなボーナスの話なんかするからや」

第一、週末来たお客さんに「金曜日こんなガラガラでこの店大丈夫なの?」って聞かれるほど暇なうちの店にとって間違いなく4名様来てくれるなんてなんともありがたい話。

応援こそすれ反対する理由はこれっぽっちも見当たらない。

「いや、それいいんじゃない。早速カレンダーに予約入れとくよ」

「えぇーっ、そんなぁー」

「あっ、でも・・・この一月の間に彼女が出来たら話は別やよ!彼女がいるのに私らに奢れってそんな野暮は言わんわ!」

先ほど、この製薬会社勤務の男の子に彼女がいないと聞いていたカップルの女性が意地悪を言う。

出来るはずないと思ってそんなこと言うなんてドSやなぁ・・・(笑)

「はい、1ヶ月で彼女が出来んかったら私らに奢るの決定ね!」

有無を言わせない。

「なしですよ!そんな約束してませんからね!」




勿論ここにいる全員が冗談のつもりだ。

何しろここにいる全員(カップルは除く)初対面なのだから・・・

たまたま隣り合わせて座っただけで縁もゆかりもない人たちなのだから・・・

全ては酒場の冗談だ。

このご時勢に「2,5ヶ月もボーナスもらえる」と口にした軽率な彼にちょびっと意地悪してみただけに過ぎない。

第一カップルの男性は人に奢ることはあっても奢ってもらうなんてことを嫌う昭和の男子。

向こうがその気で来たとしても「嘘じゃぁ」と言うに決まっている。

いや、彼のことだ「俺がもってやる」と言い出しかねない。


それにしても・・・ボーナスかぁ・・・

もう6月も半ばにさしかかろうとしている。

そんな時期なんだなぁ・・・・



考えてみたら俺、あんまりボーナスもらえるような仕事についてないなぁ・・・もらったボーナスの最高額、15万くらいじゃねーかなー・・・

ボーナスねぇ・・・

ボーナスについて考えてみる。

今まで一番嬉しかったボーナスはこの仕事始めたばかりのバイト時代。

バイト頭のHさんが「KUMA毎日毎日一日も休まず従業員より働いてるんやで(従業員は月に一度有給休暇あった)少しあげたらどうや?」と社長に進言してくれたお陰でいただいた10万円。

あれは嬉しかったなぁ・・・・

時給いくらで働いてる僕にとって働いてもいないのにもらえる10万のデカかったこと!

社長から「はい、これ少ないけどKUMAさんに」ってボーナス手渡された後

「Hさん、ありがとうございます!Hさんのお陰です。このお金で飲みに行きましょう!」

って言ったら

「いや、これはKUMAが真面目に勤めたからもらえた金やで大事にせぇや」

と言うてくれたっけ・・・

かっちょよすぎるぜ、Hさん。

でもまぁ、バイトにまでボーナスくれるなんて会社(パブなんだけど会社だった)も儲かっていたってことだよな。

いい人に囲まれていたというのもあるけど時代やなぁ・・・古き良き時代の話や。





あぁ、それにしてもボーナスかぁ・・・いいなぁ・・・誰か俺にもボーナスくれんかなぁ・・・・

まぁ、ボーナスもらったとしても支払いに消えるんだろうけど・・・・

いやいや、従業員にボーナス払わなあかん経営者の人たちに比べれば・・・

払わんでいいだけありがたいと思わなあかんな。

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